完結編!ポンコの脱走 (結の巻)
- 2014/10/19
- 08:24
(…つづき)
「2階に行って!」
隣の奥様は、猫が戻ったのに私が気づいてなくて閉め出してると思ってるみたいでした(そりゃそうだ)。
2階に行くと奥様は「これ!」と言いながら隣のベランダから何か出してきました。それは幅20cmぐらい、長さは2mはあろうかという長い板でした。棚か何か作ろうと思って買っておられたみたいです。
渡し板をかけられればなあと思ったことはありましたが、そんな板はうちにないし、あったとしてもそれを隣家のベランダの波板にかけるなどありえないと思っていたのに、それが現実になるとは…。
うちのベランダの手すりとお隣のベランダの波板の間にがっちり橋がかかりました!
…しかーし、予想はしていましたがポンコはその橋を渡ろうとはしませんでした
奥様は、うちでも猫が逃げたことがあってやっぱ捕まえるの大変だったよ、その猫はもういないけど…という話をして下さり、平謝りに謝る私に、「そんなことはいいから猫ちゃんのことだけ考えて!」と言って下さいました。
隣は良い方だとは思っていましたが、自分がこれほど隣人に恵まれていたことを初めて知りました。
高さ120センチくらいの二段ケージを持っているので、苦労してベランダに引っ張り上げて渡し板のたもとに置きました。ポンコがこっちに渡ってきたときの岸です。渡し板に餌を置いてみましたがポンコは渡ってこず、置き餌はその日1日無視されました。やっと翌日、前足だけ板にかけて餌に首をのばすようになりました。が、後足は波板から離しません。3日めにようやく後足も波板から離してこわごわ板の真ん中あたりまで来るようになりました。

うちのベランダに出入りするようになったら捕獲器を置いて捕まえるつもりだったのですが、えらく長期戦になりそうです…。餌を置けば板の真ん中くらいまでは来るのですが、ベランダの中までは入って来ないのです。ポンコがいつでも入れるよう、脱走防止の鳥よけネットをはずしているので他の猫をベランダに出せず、そのため猫たちから苦情が出始めました。夏に戻ったような暑い日続きで、特にこんな暑い日にベランダに出るのが大好きなビッキーは不満そうです。
こう着状態のまま1週間ほどたったある日、友人が、ポンコがベランダに入ったらサッとネットを引っ張って出入り口をふさいだらどうかと提案しました。私は当初、あまりいい案だとは思いませんでした。出入り口をふさぐと言ってもグニャグニャのネットは扱いにくくてすばやくかわされそうです。ベランダでしばらく餌付けして、安全な場所だと思わせてから捕獲器で捕まえるほうが、チンタラしてますが確実で安全な策に思えました。
友人案=室内から手を伸ばしてカーテン引くみたいにネットを引き寄せる(ただそれだけ)

まあ現状ポンコはベランダに入ってもこないので、とりあえず入るようになってからまた考えようということになりました。
その翌朝まだ夜明け前のことですが、ポンコがまたわーぅわーぅと鳴く声がしました。皿に少しだけ猫缶をよそって2階に上がりますと…なんとポンコはあっさりベランダに置いた二段ケージの上に乗っかっているではありませんか。ベランダにポンコが入ったのはそれが初めてでした。
私はそっと近寄りました。あわてて隣家の波板に駆け戻ると思いきや、ポンコはケージの上にうずくまってなんだかマターリしています。室内から手を伸ばしてネットをつかんで引き寄せ、出入り口をふさぎました。ポンコはぽかんとして眺めています。なんだか拍子抜けです。空腹がポンコの判断を狂わせたのでしょうか、それとも人間をナメきっているのでしょうか。
餌皿をケージの上に置いてみるとハグハグ食べはじめました。
その間に私は、渡し板をグイグイ押して完全に向こう岸に押しやりました。食べ終わったポンコは満足そうに前足をなめ、いざ帰ろうとしたときに初めて出口がふさがれたことに気づいたようでした。
さあどうするかと思ったら、私が押さえているネットに飛びかかって激しく体当たりしました。思わず手を離しそうになるほどの凄い勢いです。しかしここで逃がすわけにはいきません! 必死でネットを押さえました。隙間を求めてポンコは再度凄まじい体当たりを食らわせ、頭上からシャーーーーーーッと野獣の威嚇を浴びせてきました。私はもう無我夢中でネットで押し返しました。
ネットはカーテンみたいにすそをめくってある状態だったので、下に廻られたら逃げられてたと思いますが、ポンコは上に駆け上ろうとしました。やっぱ高いほうに行くのが猫のとっさの習性なんですかね。上部は結束バンドで留めてありますので隙間はありません。ここからは逃げられないと判断したのか、ポンコは急に身を翻して反対側に飛び降り、姿を消しました。
もしかして勝ったんちゃうか?と思いながらそろそろと振り返りましたが、まだ暗いのでポンコの姿は確認できません。不意を突かれてすり抜けられないよう用心しながら、結束バンドでネットを留めていきました。手近に脚立がなかったので(置いとくべきだった)十分にはいきませんでしたが、なんとかネットを元のように留めたので、後ろを見るとポンコの姿はベランダのどこにもありません。開けておいた窓から家の中に入ったようです。
私はますます勝利を確信しながら家の中を探しました。あれ?どこにもいない…。またもや煙のように消えてしまいました。しかし、どこにも逃げ道はないはずです。
ポンコが脱走した日のようにまた押入れを探していると、部屋に閉じ込めていた他の猫たちが不満そうに騒ぐ声が聞こえてきました。出してやると猫たちはベランダの部屋に入り、あちこちをしばらくかぎまわっていましたが、そのうち3匹連れ立ってぞろぞろと1階に下り、トイレの前でぴたりと止まってずらり並びました。私はトイレの戸を開けました。
隅っこで縮こまっているポンコのお尻を発見したときは、本当に腹の底から笑いが止まりませんでした。
悪は滅びた。
(服役中)

まあ↑のように身柄拘束するまでにはもうひと悶着ありまして、実は友人に捕まえてもらいました
(終わり)
「2階に行って!」
隣の奥様は、猫が戻ったのに私が気づいてなくて閉め出してると思ってるみたいでした(そりゃそうだ)。
2階に行くと奥様は「これ!」と言いながら隣のベランダから何か出してきました。それは幅20cmぐらい、長さは2mはあろうかという長い板でした。棚か何か作ろうと思って買っておられたみたいです。
渡し板をかけられればなあと思ったことはありましたが、そんな板はうちにないし、あったとしてもそれを隣家のベランダの波板にかけるなどありえないと思っていたのに、それが現実になるとは…。
うちのベランダの手すりとお隣のベランダの波板の間にがっちり橋がかかりました!
…しかーし、予想はしていましたがポンコはその橋を渡ろうとはしませんでした

隣は良い方だとは思っていましたが、自分がこれほど隣人に恵まれていたことを初めて知りました。
高さ120センチくらいの二段ケージを持っているので、苦労してベランダに引っ張り上げて渡し板のたもとに置きました。ポンコがこっちに渡ってきたときの岸です。渡し板に餌を置いてみましたがポンコは渡ってこず、置き餌はその日1日無視されました。やっと翌日、前足だけ板にかけて餌に首をのばすようになりました。が、後足は波板から離しません。3日めにようやく後足も波板から離してこわごわ板の真ん中あたりまで来るようになりました。

うちのベランダに出入りするようになったら捕獲器を置いて捕まえるつもりだったのですが、えらく長期戦になりそうです…。餌を置けば板の真ん中くらいまでは来るのですが、ベランダの中までは入って来ないのです。ポンコがいつでも入れるよう、脱走防止の鳥よけネットをはずしているので他の猫をベランダに出せず、そのため猫たちから苦情が出始めました。夏に戻ったような暑い日続きで、特にこんな暑い日にベランダに出るのが大好きなビッキーは不満そうです。
こう着状態のまま1週間ほどたったある日、友人が、ポンコがベランダに入ったらサッとネットを引っ張って出入り口をふさいだらどうかと提案しました。私は当初、あまりいい案だとは思いませんでした。出入り口をふさぐと言ってもグニャグニャのネットは扱いにくくてすばやくかわされそうです。ベランダでしばらく餌付けして、安全な場所だと思わせてから捕獲器で捕まえるほうが、チンタラしてますが確実で安全な策に思えました。
友人案=室内から手を伸ばしてカーテン引くみたいにネットを引き寄せる(ただそれだけ)

まあ現状ポンコはベランダに入ってもこないので、とりあえず入るようになってからまた考えようということになりました。
その翌朝まだ夜明け前のことですが、ポンコがまたわーぅわーぅと鳴く声がしました。皿に少しだけ猫缶をよそって2階に上がりますと…なんとポンコはあっさりベランダに置いた二段ケージの上に乗っかっているではありませんか。ベランダにポンコが入ったのはそれが初めてでした。
私はそっと近寄りました。あわてて隣家の波板に駆け戻ると思いきや、ポンコはケージの上にうずくまってなんだかマターリしています。室内から手を伸ばしてネットをつかんで引き寄せ、出入り口をふさぎました。ポンコはぽかんとして眺めています。なんだか拍子抜けです。空腹がポンコの判断を狂わせたのでしょうか、それとも人間をナメきっているのでしょうか。
餌皿をケージの上に置いてみるとハグハグ食べはじめました。
その間に私は、渡し板をグイグイ押して完全に向こう岸に押しやりました。食べ終わったポンコは満足そうに前足をなめ、いざ帰ろうとしたときに初めて出口がふさがれたことに気づいたようでした。
さあどうするかと思ったら、私が押さえているネットに飛びかかって激しく体当たりしました。思わず手を離しそうになるほどの凄い勢いです。しかしここで逃がすわけにはいきません! 必死でネットを押さえました。隙間を求めてポンコは再度凄まじい体当たりを食らわせ、頭上からシャーーーーーーッと野獣の威嚇を浴びせてきました。私はもう無我夢中でネットで押し返しました。
ネットはカーテンみたいにすそをめくってある状態だったので、下に廻られたら逃げられてたと思いますが、ポンコは上に駆け上ろうとしました。やっぱ高いほうに行くのが猫のとっさの習性なんですかね。上部は結束バンドで留めてありますので隙間はありません。ここからは逃げられないと判断したのか、ポンコは急に身を翻して反対側に飛び降り、姿を消しました。
もしかして勝ったんちゃうか?と思いながらそろそろと振り返りましたが、まだ暗いのでポンコの姿は確認できません。不意を突かれてすり抜けられないよう用心しながら、結束バンドでネットを留めていきました。手近に脚立がなかったので(置いとくべきだった)十分にはいきませんでしたが、なんとかネットを元のように留めたので、後ろを見るとポンコの姿はベランダのどこにもありません。開けておいた窓から家の中に入ったようです。
私はますます勝利を確信しながら家の中を探しました。あれ?どこにもいない…。またもや煙のように消えてしまいました。しかし、どこにも逃げ道はないはずです。
ポンコが脱走した日のようにまた押入れを探していると、部屋に閉じ込めていた他の猫たちが不満そうに騒ぐ声が聞こえてきました。出してやると猫たちはベランダの部屋に入り、あちこちをしばらくかぎまわっていましたが、そのうち3匹連れ立ってぞろぞろと1階に下り、トイレの前でぴたりと止まってずらり並びました。私はトイレの戸を開けました。
隅っこで縮こまっているポンコのお尻を発見したときは、本当に腹の底から笑いが止まりませんでした。
悪は滅びた。
(服役中)

まあ↑のように身柄拘束するまでにはもうひと悶着ありまして、実は友人に捕まえてもらいました

(終わり)
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